噂のビオワイン―自然は偉大でスピリチュアル?

オーガニックワインとの違い、特徴、背景

噂のビオワインとは?オーガニックワインとの違い、特長、背景など

ワインリストを眺めていると、“てんとう虫”のマークが付いているけど、これ何…?

もしかしたら、密かに疑問を抱いている方がいるのではないかと思うのですが、それはきっと、ビオワインです!
“てんとう虫”や“月”は有機農法、ビオのシンボルなのです。

この頃”ビオワイン”を置いているお店、増えてきたと思いませんか?なんだか体と地球に優しそう?
そんなビオワインが、どうやって造られ、どんな味がするのかをご紹介します!

実は、ビオ=自然派と一口にいっても、段階があります。まず、多くの人々に飲まれていて市場の大半を占めるのが、所謂化学肥料や農薬を使用して造られた大量生産型ワイン。

次に、サステイナブル=別名リュット・レゾネ(減農薬)、オーガニック=別名ビオロジック(有機農法)、そして最後にビオダイナミック=別名ビオディナミ。これらは全て広い意味で“ビオ=自然派“ワインとなります。大量生産はできずとても希少なのです。

そして日本で言うビオワインとは、ビオロジックまたはビオダイナミック農法を用いて造られたワインですが
海の向こうでは、ビオワインは、ビオダイナミック農法により製造されたワインのことを言います。

実はビオワインという言葉は、海外では存在しません。

では、オーガニックワインとは…?

オーガニックワインは厳密にはビオロジックの範疇なのですが、日本ではオーガニックワインは「オーガニックワイン」として個別のものに認識されているのです。

オーガニックワインはエコサートやアグリカルチャー・ビオロジック。ビオワインはデメテールの認証マークが付いてるものが多くあります。
この認証マーク、公的認証機関に認証を受けた上で、指定された栽培方法を採用すればワインに付けられます。

そもそも何故“自然派“というキーワードが生まれたのか?

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自然保護愛それとも、テロワール(土壌)を真に表現するための産物なのか、はたまたスピリチュアル的思想なのでしょうか?

90年代からビオワインを作り続け、カリフォルニア・ソノマ初のビオ認証を受けた人気ワイナリー「ベンジガー(Benziger Family)」前CEO、マイク・ベンジンガー氏曰く「ビオダイナミックとは、エネルギーの管理システムである」とのこと。

ビオ=ビオダイナミックの概念には万物は相互関係にあり共鳴しあっているという考えがあります。万物というだけあって、その概念を取り入れたビオダイナミック農法は、ぶどう樹、人、そして天地、これらの調和を保つことが根本にあるそう。

なんだか壮大で難しく聞こえますが、実はこれ、特別新しい概念ではないのです。
よく考えてみれば、古来、人は己を取り巻く自然に物事の答えを見出していましたよね。星座占いなどと同様です。

つまるところ、真のビオとはビオロジックに+スピリチュアル要素αを取り入れた製法という訳です。
自然本来の力を引き出すという意味では、確かにテロワールをより忠実に表現していることになるかもしれません。

そんなビオダイナミック農法が体系化されたのはオーストリアの哲学者ルドルフ・シュタイナーが提唱した1920代からですが、決して新しいとは言えません。当時から、合成化学物質が生まれ、大量生産を目的とした農業で土壌に変化が生じるようになったのです。

70年代までには由緒正しい産地のワインも、その弊害で美味しくなくなってしまいました。90年代に入る頃には、ようやく環境破壊を認めて反省し、自然派志向にトレンドが移行。前述のベンジガーのように自然派へと転換するワイナリーが増えていきました。

そうです。農業を機械化し、化学物質を使用して大量生産をした結果、土壌は疲弊してしまいました。しかし、その後の環境に配慮した自然派農法が注目されるようになり、再び往来の農法に近い形を取り戻しました。

伝統の良い部分を継承しながら、変化に挑む試み。
一周回って、祖先がやってきたワイン造りが一番地球に優しく、質の良いワインを造れる方法だと気付いたのですね。

ビオダイナミックのコスパは微妙?気になるお味は?

 
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作り手としてはコストパフォーマンスを考えるのは当たり前。果たして、ビオダイナミックはコスパが良いのか?

ワイン造りにおけるビオダイナミックが起こるのは、主に醸造前、ぶどう園の中です。化学物質等の添加物は一切使用されません。代わりに、栽培家の人たちは自分たちで自然な肥料を作り、機械を使わずに人の手で生育します。

そうなると時間や費用、トータルのコストが増えるのは必然。断然手間がかかるものです。でも、何でも手間をかけて作られたものは美味しい気がしますよね。

食べる人のことを考えて作られた手料理と、工場で大量生産されたコンビニ弁当ではどちらの方が健康的で美味しく感じるのかというのと同じです。

コスパの話はさておき、ビオワインは何故人気があるのか?
人気の秘密はというと、「テロワールと、ぶどうそのものを感じられるワイン」だから。

有機栽培されたぶどうは畑のミネラル分をしっかりと吸収して、土壌の特徴と旨味が凝縮された実に育ちます。醸造時に甘味や酸味等を添加せず、更に無濾過、無着色、無清澄で造られるワインは、ぶどう本来の美味しさが味わえるのです。

ビオワインの最大のポイントは、素材が活きているということでした。その味わいは優しく繊細なものが多いようで、ビギナーにも挑戦しやすいのだとか。

もしビオワインを手に取ることがあれば、普段飲むワインと色や味わいを比べてみるといいでしょう。あなたもビオワインのファンになるかもしれません!